国民は憲法守る義務がないの？

道路交通法など法を守る義務があるのにーあらためて憲法を学ぶ　青山崇

　日常生活では法を守ることが義務です。しかし法の中でも最高の地位にある憲法は別格です。国政を担う大臣、国会議員、裁判官などの権力を抑え、国民の権利を守るのが憲法です。第99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」とし、権力者だけに守る義務を課し、国民は守る義務はないのです。

　稲田防衛大臣が６月27日に自民党都議選立候補者の集会で、「防衛省、自衛隊、防衛大臣としてもお願いしたい」と応援演説した。選挙権の行使以外の政治行為を自衛隊員に呼びかけたもので自衛隊法・憲法違反である。同日夜撤回したから免罪というものではない。

　稲田大臣も安倍首相と同じく憲法はなく自民改憲案で政治をしている。さらに同案第９条３に「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して」とあり、第25条２を新設「国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受」などとし、「国民と協力して」が曲者。戦時中「国民総動員法」「国民精神総動員」で、政府は国民の人的物的資源を統制、滅私奉公(自分を犠牲にし国家に尽くす)を強制、「ぜいたくは敵だ！」などの標語で国民を戦争へ動員しました。「国民と協力して」は「総動員」を思い起こすのです。