憲法は絵に描いた餅ではない！

憲法25条で｢人間裁判｣たたかった朝日茂さん

ーあらためて憲法を学ぶ　青山崇

　「人間裁判」記念碑が入院していた国立岡山療養所跡地近くに建っている。朝日さんは重い結核で、生活保護法の医療扶助と月６００円の日常品扶助を受けていた。病状が悪化し６００円では卵など補食も出来ない。「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(25条生存権)を盾にたたかうことを決意した。１９５７(昭和32)年提訴し、「人間裁判」と呼ばれ全国から多くの人々が支援し私も一人に加わった。

　当時、国や裁判所、法律家さえも、努力義務規定で権利保障でないというのが支配的見解であった。ところが１９６０年、東京地裁判決は、提訴を認め25条は基本的人権で、「最低限度の水準は決して予算の有無によって決定されるものではない」とし世間をあっと驚かせた。勝訴した朝日さんは「憲法は絵に描いた餅ではない」と力強く手記に書いた。

　高裁・最高裁で逆転敗訴、しかし政府は強いショックを受け、その翌年生活保護基準を30％以上引き上げ、以後も改善し社会保障制度の前進に大きな影響を与えた。

　保護基準の切下げも検討している現在、朝日さんの遺言は、私たちに憲法を暮しに生かすことを強く訴えかけてくる。