中仙道テクテク一人旅(その10)

あの世の閻魔様は嘘つきが嫌い　（新町 齋藤留治）

　中仙道のとある宿場の民宿の女将さんの世間話によると、知人であるお寺の和尚さんが突然倒れて救急車で運ばれ、その後数日間意識が回復せずこのまま成仏してしまうのではないかと心配したそうだ。

　幸いにして和尚さんは日頃の功徳が閻魔様に届いたのか回復し元気になったそうである。

　退院後、女将さんが和尚さんに会った時、和尚さんは「女将さん、俺、三途の川を見て来たよ、大きい川に長い橋が架かっておってな、橋の袂には番人みたいな人がおってこう語りかけたんだよ」と。

　番人は「あなたは現世でまだやりたい事があるか、自分に恥じるようなことはしなかったか」と。

　そこで和尚さんは「俺はまだ現世でやらなければならないことがあるから橋を渡りたくない、申し訳ないが閻魔様に頼んでくれないか」と答えた瞬間目が覚めたそうである。

　真偽は判らないが、仏門にある和尚さんの話なので女将さんのすっかり信じ込んでいるような顔が微笑ましかった。

　さて、参議院選挙が終わった。

　今回から投票年齢が引き下げられたが投票率は約50％ちょっと、過去４番目の低投票率で、ある新聞には大変憂慮すべき事態であると書いてあった（投票の義務化で棄権すると罰金という国もある）。

　選挙では「この道しかない、まだ道半ば」とアベノミクス宣伝に徹したアベ首相、この新語に格別新しい内容は無く、朝日新聞に掲載されて語呂が良いことから広まったという事だが、国民はすっかり騙されていると思えて仕方がない。

　日本銀行が国債の山で一杯になる日がすぐそこまで来ているというし、政府の借金も膨らむばかり、求人が増えたと大ぼら吹いても非正規のみだし、社会保障も当てにならないではアベ政権を続けさせる意味は無いと警鐘を鳴らす経済学者も多い。

　このままでは閻魔様もＡさんが来た時抜く舌が多くて苦労するに違いない。