私の昭和 26

疎開　鈴木重雄（88歳・八色木）

　都会からの学童疎開で大洞寺にも集団寄宿していたし、親類縁子を頼って個人の家にも間借りをし、学校に通っていた。

　藤島小学校の集落の神社や集会所で分散授業も行っていた。

　私の奉公先、日向家にも疎開者が来ることになり荷物を受け取り荷馬車で藤島駅丸通に行った。

　家財道具は少しであったが本の多いのに驚いた。

　何日か遅れて若い奥さんが乳呑児を抱いて来られた。広島からだと聞いている。

　座敷に住まいしていたが顔を合わせる機会はなかった。短かい期間で転居された。

　当時広島には原爆が投下されたと報道はなかったので事情を知る由もなかった。