木曽路に入って数日後、この日は夕方になっても泊まる宿を探す事が出来なく、「なんとかなるだろうが、はて困った事になったなー。」と思案にくれながら山道を歩いていると、ある昔話がふと頭に浮かんできた。それは、「昔むかしある山奥の寺に年老いた和尚さんと子僧さんが住んでいました・・・」と続く子供にとってはとっても怖い昔話だった。
昔話の中の山姥(やまうば)は、未だピチピチした柔らかい人間の方が好きなようだったので、残念だけれどもいくら腹が減っている山姥でも、噛んでも噛んでも柔らかくならないような私のような者を泊めても知らんぷりかもしれない、と希望を抱きながら歩いて行くと、山陰の奥にかなり大きな街並みが見えてきた。
これで昔話にあるような怖ーい山姥が住むという一軒家に泊めてもらわなくても大丈夫と、ひと安心して歩いて着いた所は木曽福島宿。
宿屋はあるのだがどこも満員、ようやく観光協会の人が「１軒だけ空いている」と紹介してくれた旅館の玄関を潜る事が出来た。
泊まる所を確保できたので贅沢は言えないが、玄関に入った第一印象は「汚い旅館だなー」と思ったが、部屋に案内されて２度びっくり。「これで１万円もボッタクリやがって」と不満タラタラでご飯を食べ寝床に入った。
やがて寝付いた頃、こんどは「ガサガサ」という物音で目を覚ました。「さては山姥でも来たかな」と思って電気を点灯ると、来たのはゴキブリ数匹。
翌日、払った１万円札に名残を惜しんで宿を後にした。
もう一方の山姥は、アベ政治で法務大臣を務めたＭ女性国会議員。大欠伸や読書・携帯イジリと忙しい。
当選してお金と名誉欲を満たせば後は野となれ山となれ。この議員の顔が昔話の挿絵にでてくる山姥と重なって見えて仕方がなかった。
（写真）松島みどり衆議院議員「日刊ゲンダイ」2016年3月14日から
