   在りし日の小田利吉さん |
地域の労働運動や民主運動の指導者として活躍され、多くの後継者を育て、たくさんの人から「小田さんに助けて頂いた」と慕われた人でした。
故人を偲び、11年前の２００４年11月20日に開催された藤島町職員労働組合50周年記念で、県自治労の表彰を受けた小田利吉さんの挨拶（全文）を掲載します。（中見出しは編集部）
■年甲斐もなく胸がときめき
本日は藤島町職員労働組合50周年記念式典にご案内いただき、また、県自治労の表彰をいただき大変ありがとうございます。
共に受賞された方々を代表して心から御礼申し上げます。
式典が始まる前には、茶道サークルの皆さんからお茶のおもてなしを受け、大変なつかしく、年甲斐もなく胸がときめくような美しい姿に感激しました。
■町村に先駆的に職員労働組合を結成
私は、町職労50年の歴史のなかで、どうしても皆さんに語っておきたいことがあります。
その一つは、50年前に町村合併で現在の藤島町が誕生したとき、合併と同時に役場に職員労働組合を結成したことです。
当時は県内の町村で労働組合がほとんど無かったのです。
私たちの先輩がいかに先進的だったかを物語っています。
■職員の首切り反対闘争
多額の借金を持ち込んで合併した藤島町は、このままでは町の財政が破綻してしまうから人件費の大幅な削減をしなければならないとして、当時の３月議会に職員定数の大幅削減をする条例が提案されました。
私たちはこれを許せば大変なことになるとして直ちに反対闘争に立ち上がりました。
「住民福祉の現場で働く職員の首を切って町の財政を再建する」などということは絶対許せない、こんなやり方では町民に喜ばれるまちづくりはできるものではないと、団体交渉を繰り返し、広く町民や町会議員に訴えるなどして頑張りました。
当時は今と違って上部からの指導もなく、何をするにもすべて自分たちで考え、知恵を出し合って闘いました。
胸に「首切り反対のリボン」を下げるリボン闘争も考え出しました。
当時の課長さんたちも組合員でしたので、課長さんたちが「首切り反対」の黄色いリボンを胸に付けて議会に出席するまで発展しました。
議会はこの問題で紛糾し、４日間休会となり、再開した議会の冒頭でこの条例案が撤回することに決まりました。
■委員長のお前を首切りにする
この闘いの最中、団体交渉のときに町長から「そんなにみんなをかばうなら委員長のお前の首を切る」といわれました。
その時私は一瞬真っ青になったことを今でもはっきり覚えています。
私は自分が首切りになるわけがない、人のために闘っているんだという思い上がりがあったのだと思っています。
その時の太田傳内町長の一言が、私に「労働組合とは何であるか、労働者が団結して闘うということはどういうことなのか」を教えてくれた一言でした。
この一言がその後の私の生き方を決定づけたといってもよいのです。
血の気を取り戻した私はその後、迷うことなく先頭に立って闘うことができました。
もし、この時に職員組合がなかったら大変なことになっていたと思っています。
■臨時職員の正職員化に
この闘いがその後、合併時の職員給与の格差を是正させ、男女差別の解消、臨時職員の正職員任用をはじめ、さまざまな闘いで県内でも藤島町に学べと言われるような実績を上げていく土台となったと私は思っています。
藤島町は破綻しませんでした。
むしろ、地域住民と広く共同しながら進める町職労の闘いが、その後の福祉と教育、農業を大切にする革新町政に発展する力になったと思っています。
これらの闘いの伝統を受け継ぎ、発展させてきた藤島町職員労働組合の皆さんに心からの敬意を表すると共に、藤島町職労の歴史が50年で終わりにならないことを祈念してご挨拶と致します。
本日はどうもありがとうございました。
（２００４年11月20日)
