寄稿

安倍総理よ「日本の過去の何を取り戻すの」

Ｔ・Ｓ(藤島・新町)

　先月ドイツのメルケル首相が日本にやってきました。

　その時「ドイツは過去にドイツが犯した歴史と向き合った。」と語られました。

　何故私がメルケル首相の言葉に思いを寄せたかというと、数年前に私はカナダのある町に数カ月住んでおりました。

　その時に同じ家に住んでいたのがドイツからとブラジルからの留学生でした。

　私の通っていた学校には色々の国から来ておりましたが、ある時台湾からの留学生と話す機会がありました。

　彼は英語と日本語もかなり話す事が出来ましたので、たまたま昼食を食べながら話をした時彼は私にこう話してくれたのです。
「あなたの国日本はお金と工業技術では世界から尊敬されているがドイツは工業技術に加えて国としても日本より尊敬されている。」と

　その言葉を思い出して最近山崎豊子さん原作の「二つの祖国」という長編小説を読んでみました。

　山崎豊子さんは終戦で旧満州に取り残された開拓団の悲劇を描いた「大地の子」や日本航空のジャンボ機墜落事故の引き金となった企業の冷酷さを描いた「沈まぬ太陽」を書いた社会派作家として知られておりますが、残念ながら昨年９月に亡くなってしまいました。

　「二つの祖国」を既に読んでいる方には申し訳ありませんが、内容を要約すると、太平洋戦争勃発時にアメリカに住んでいた日系人が宣戦布告無しに攻撃されたと言われる真珠湾攻撃に対するアメリカ人の日本人に対する憎悪によって受けた苦難の生活や、南方の島で日系移民の兄弟同士で銃を向け合う姿、そして戦場での恐怖・飢餓によって死んでいく姿等々。

　しかし終戦後開かれた東京裁判では、軍の幹部や高等文官達は自分の命欲しさに責任逃ればかりの証言を重ねる文章を読んでいて、何千万人の命を奪ってなんという姿なのか怒りで言葉を失うほどでした。

　この小説は山崎さんがハワイ大学に客員教授として赴任されていた時克明に調査をして事実に基づいて書かれたものだそうです。

　日本人もドイツのように真摯に過去に向き合い隣国に尊敬される国にならなければなりません。

　今の安倍首相の祖父も満州事変を勃発させた一人なのに安倍さんは何と思っているのでしょうか。

　今の姿を見ていると「何とも思っていません。」という言葉が返ってくるのでしょうか。

　その意味でも今回の統一選挙では戦争は絶対駄目だという意思表示と、坊ちゃん首相安倍さんの勝手にはさせないという決意で投票しようと思っています。