横枕・巳ノ虫（よこまくら・みのむし・東堀越）　　　青山崇

民報藤島2002年11月10日第368号

　横枕は東堀越の西北にあります。庄内では羽黒町・酒田市・八幡町・遊佐町など６ヶ所あります。

　『荘内地名辞典』は、開発した土地を地割りした時、横につけたしのようにできる不定形の土地をいうとあります。誰にも分かる物の例えで、枕だけが側に横たわっていると、いかにも余り物という印象を与えてくれます。辞典にないので民衆によるすばらしい造語といえます。

　巳ノ虫は蓑虫のことで東堀越の西にあります。庄内ではここだけの珍しい地名です。先日、下校する子どもたちが街路樹でみつけ、蓑虫がいる！と騒いでいました。蓑虫は樹木の枝や葉を糸で綴った袋状の巣をつくり、その中に潜み、蓑を負うような形をしています。袋は丈夫で財布などの材料になります。枕草子に「蓑虫いとあわれなり…ちちよ、ちちよとはかなげに鳴く」とあり、風情のある虫とされていたようです。

　どこにもいる虫なので住んでいる所からの命名でなく、地形が蓑虫の形、すなわち蓑に似ていることにちなむと考えられます。（青山）

巳ノ虫（みのむし・東堀越）の修正